Last updated 2018-03-23

イギリスのEU離脱騒動は日本経済復活の起爆剤になる!!

ヨーロッパの大混乱は日本にとって国益だ!!



池田
「今週は、英国のEU離脱について解説しましょう。
私たち日本人にとって気になるのは、日本への影響です。

しかし、マスコミは為替と株価のことばかりを報じている。
これは本質からかなりズレています。

もういい加減、円高の進行は日本にとって不利益だみたいな論調はやめて欲しい。
考えてもみてください。

世界が大混乱に陥ったときに円の価値が上がることの意味を。円の実力と信頼性が高いという証なんですよ」

 円高で困るのは主に輸出産業とはいえ、大企業が多いから影響も大きいんじゃないの?

池田
「日本のGDPに占める輸出産業の割合は、2割にも達していない。
日本経済の実態は内需中心型なのです。

20年以上前、1ドルが80円前後という超円高期があった。
当時のマスコミも、輸出産業が壊滅すると危機感を煽りまくった。でも、結局なんともなかった」

 メリットのほうが大きいの?

池田
「明らかにそうです。
今まで不当にアベノミクスの犠牲にされてきた、日本のGDPの8割以上を占める内需系の国内産業にとって、最高の時代が到来するのです。

石油や天然ガスなどのエネルギー調達費も安くなるから、あらゆる業種の生産コストが安くなる。
国内に生産拠点を持つ製造業なら、輸出産業であっても競争力が上がる。
そうなれば雇用も好転する。
皮肉なことに、20年以上も停滞した日本経済が、アベノミクスのおかげではなく“EUショック”のおかげで活性化するのです」

 なんか、第二次世界大戦後に焼け野原と化した日本が、朝鮮戦争特需で奇跡的な復興を果たしたパターンに似ているなあ。

池田
「まさにそのとおり。
あのときも日本政府が優秀だったわけでも頑張ったわけでもなかった。
たまたま隣国で戦争が起こり、アメリカが参戦して、戦場から最寄りの同盟国が日本だったから莫大な量の軍需物資を供給する役割を果たせたのです」

 なんか複雑な気分だ……。

池田
「株価も同じです。アベノミクスが株価を上げたみたいな空気になっていますが、そうではありません。

日本経済におけるマイノリティである輸出産業を不当に優遇するために円安を実現させたのがアベノミクスの正体です。

株価も、円安のおかげで海外の投資家から見ると格安になったから大量に買われて上昇しただけ。
今回の場合、円高になって株価が割高になったから売られただけ。今後は反発して上がると思うので、心配には及ばないと思います」

 どういうこと!?

池田
「今回のEUショックによる世界的な株価下落によって失われたお金は、215兆円にもなるといわれています。

しかし、下がったのはあくまでも株の価値であって、お金自体が消えてなくなったわけではない。
暫定的に、どこかにあるのです。

投資家のお金は、現金のまま置いていてはただの紙切れで、運用しないと意味がない。
まさに今、慌てて新たな投資先を探しているのです。

ヨーロッパから引き上げた莫大な額のマネーを、どこに投資するのか?
それは、世界で一番強くて豊かなアメリカか、世界で一番安定している日本なのです。
EUショックで大損をした世界中の投資家のお金が、日本に流れ込んでくる可能性は非常に高いと思います」

 日本の未来が明るいぞ!

池田
「英国が最終的に離脱するかどうかはわかりません。
ただ、今後EUが大混乱に陥ることは確実です。
他国やよその地域が弱くなることは、日本の国益にとっては良いことなのです。
日本のような安定したマーケットの価値が上がるのですから。
このまま行けば、長年停滞した日本経済が大復活するかも知れない。

ただ、そんなチャンスを台無しにしそうな連中がいます。
過去に日本経済を失速させる金融政策ばかりを行なってきた、日本銀行です。

バカなバズーカを撃ち、無用な金融緩和などをしなければいいのですが……」


週刊プレイボーイ 2016年 No.29号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.42」より

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