Last updated 2018-03-23

都知事を辞任に追い込んだ、巨大利権に群がる悪いやつら

鉄の結束力で利権を守る都議、都庁、天下り団体……



池田
「舛添要一前東京都知事が、政治資金を“違法ではないが不適切”な使い方をしたとして、辞任に追い込まれました。
彼の見苦しくて不誠実な弁明と、圧倒的なセコさには同情の余地がありません。

しかし、本当に悪くて汚くて、都民に大きな実害をもたらしている連中はほかにいます。

皮肉なことに、都知事のお膝元である都議会こそが、醜い政治とカネの世界に染まっているのです」

 舛添氏の金遣いを追及した張本人たちじゃないか!

池田
「そのとおりです。
今回、続投を希望する舛添氏に辞任を決断させたのは自民党東京都連(以下、都連)の幹部たちでした。
現在、都連の会長は石原伸晃衆院議員ですが、彼は単なるお飾りにすぎません。
都連を事実上牛耳っているのは、都連幹事長でベテラン都議の内田茂氏と、都連幹事長代理で元都議の萩生田光一官房副長官です。
さらにその一派に連なる『都議会自民党』という会派の都議たちが彼らを支えている」

 萩生田氏といえば、前回の総選挙前、マスコミ各社に圧力ともとれる内容の文書を送りつけて有名になった人だ。

池田
「東京都の予算総額は、13兆円を超えます。
これは人口2億人以上の産油国インドネシアに匹敵する規模で、人口はスウェーデンよりも多い。当然、利権の規模も巨大です」

 具体的にはどんな利権が?

池田
「一例を挙げると、都が所有している土地の利権があります。公有地というやつですね。
1平方メートルあたりの単価が百万円を超える土地があちこちにあるのです。
これらを再開発するときに莫大な利権が発生する。

この利権構造には、以下のような連中が関わっています。

①土地の所有者である都庁の関係部局。
②都から委託を受けて、土地を「公正に利活用する」ための計画を作成する公社や法人といった都庁の天下り組織。
③巨大なビジネスチャンスをモノにしたい企業や、工事を請け負いたい業者たち。
④都庁や天下り組織、大小の企業に顔のきく与党都議会議員、または都議出身の国会議員」

 舛添氏のようなセコい話ではなく、エゲツないスケールの闇が広がっている気が……。

池田
「国レベルでは、ここ20年ほどで世間の目が厳しくなったことなどもあり、あからさまな利権構造はほぼなくなった。
昔は数多くいた『族議員』も、事実上、絶滅した。
逆に地方自治体は、監視の目が行き届かないのでやりたい放題。
とはいえ、東京以外の道府県は財政がギリギリなので利権規模も小さい。
でも東京の場合、黒字財政の上に予算規模も国家レベルなので、利権のスケールもハンパなく大きくなるのです」

 舛添氏は、巨大利権にどっぷりと浸かった連中から、細か〜いカネの使い方を追及されて辞任させられたわけだ。

池田
「私は、過去に農林行政を牛耳る超大物族議員の番頭(筆頭の秘書)をやっていたので、国家利権の中枢に長く携わりました。
その経験と知識、そして政官界に高度な人脈があるので、利権に食い込みたい企業や個人から、今でもいろいろな相談を受ける機会があります。
そして東京の案件で必ずぶつかるのが、新参者が絶対に割り込めない鉄壁の利権構造なのです」

 都議、都庁、天下り組織、業者らが“抜群のチームワーク”で結束した利権集団か。

池田
「そうです。私が知っている範囲だけでも、東京は“違法じゃないが、かなり不適切”な手法で築き上げられた利権構造だらけです。
次に都知事になる人は、そんな甘い汁を貪る連中に囲まれながら、完璧にクリーンな政治活動をしなくてはならない。
政治資金の私的流用など、10年以上前まで遡ってもあってはならない。
会食や会議費については、家族が出席しているかどうかまで明らかにしなければならない。
本当にご苦労様ですと言うほかりません」



週刊プレイボーイ 2016年 No.28号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.41」より

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