Last updated 2018-03-23

財務省が消費税を通して遂行する大洗脳作戦とは!?

消費税は社会保障の維持ではなく借金返済が目的



池田
「今週は、消費税率の引き上げ延期問題についてお話ししましょう。
と言っても、増税の延期がアベノミクスや財政問題に与える影響とかの話ではありません。

財務省が行なっている『大洗脳作戦』についてです。

その対象は、政治家やマスコミも含んだ国民全体です」

 だ、大洗脳作戦!?

池田
「安倍首相が消費税率の引き上げ時期を再延期すると発表したとき、皆さんはどう感じましたか?
増税しないのはうれしいし、今の経済状況を見れば妥当な判断だろうけど、将来のことを考えると不安な気持ちにもなりませんでしたか?」

 確かにそうかも……。

池田
「その心理状態こそ、財務省による巧妙な洗脳作戦が成功している証なのです。
国民全体が『消費税は必要なもの』だと認識している。
社会保障費とか財政赤字の問題があるから仕方ないと思ってしまっている」

 違うの?

池田
「断じて違う。
皆さんの洗脳状態を解くには、消費税の歴史を知る必要があります。

まずは消費税の先輩である欧州の歴史から。
第二次世界大戦後、フランスやイギリスなどは戦勝国でありながら戦後復興がうまく進まなかった。

すぐに東西冷戦が始まってしまったからです。
東側陣営に対抗するため、復興と同時に軍備も整える必要があった。
戦後復興と軍備増強を同時進行させることは、国家財政的に無謀な取り組みでした」

 だから消費税を導入したと。

池田
「そのとおり。
とにかく金が欲しかった西側の欧州諸国は、国民のあらゆる消費生活に課税する間接税という仕組みを思いついた。
しかしこれはあくまで苦肉の策の産物です。

例えばアメリカには消費税がない。
本土が戦場にならなかったので戦後復興は不要だったからです」

 あれ? 日本は戦後復興が上手くいったし、東西冷戦にも巻き込まれていない。何のために消費税が始まったんだ?

池田
「大蔵省(現財務省)が初めて消費税の議論を仕掛けたのは昭和54年(1979年)のことでした。
この頃の日本は、奇跡といわれるほどの戦後復興を果たし、さらに高度経済成長も遂げて世界有数の金持ち国家になっていたのです」

 それなのに、なんで大蔵省は消費税導入を企んだの?

池田
「まさに問題の肝はそこです。

昭和54年の4年前から、赤字国債の発行が慢性化したのです。
政府の借金という、日本を蝕む重病が始まったわけです。

大蔵省はその借金を返済するお金が欲しかっただけ。

その後、大蔵省は執拗に『消費税必要キャンペーン』を張り続けた。
そして平成元年(1989年)、ついに竹下登内閣が消費税法を成立させました」

 借金返済のために導入された消費税が、今ではすっかり社会保障を維持するためだという認識が浸透しているよなあ。

池田
「それこそが大蔵省時代から続く洗脳作戦の成果です。

消費税が社会保障の維持のために必須だと思い込んでいる。

みんな完全に騙されています。
社会保障費と消費税を関連づけて考える思考こそが、財務省の狙いなのです。

本当に社会保障の維持が目的なら、明確に社会福祉目的税化すればいいのです。

そうしないのは、別の目的で使いたいからにほかならない」

 借金の返済か……

池田
「そうです。
消費税の導入以降、それまで絶好調だった日本の経済力は低下の一途をたどった。

しかし消費税率は上昇の一途です。

最大の問題は、税収に見合わない膨大な支出のために発生した借金とその利息を、消費税で埋めようとする財務省の姿勢なのです。

彼らは消費税率を上げれば大丈夫だと考えている。
だから国の収入が減っても平気な顔で支出を増やし続けられる。

そのツケを払うのは当然、私たち国民です。

消費税で国の借金を返済する仕組みを変え、収入に見合わない支出をやめさせること。
これが最優先で取り組むべき政治改革なのです」


週刊プレイボーイ 2016年 No.26号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.39」より

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