Last updated 2018-03-23

特別編 知られざる労働組合の実態を知れば、総選挙がカオス化した理由がわかる!!

民進党が“溶けて”なくなってしまったことで、混迷を極める総選挙の行方。小池百合子氏が出馬するかしないかに注目が集まったが、この政局の真の主役は、民進党を支えてきた労働組合組織『連合』だと池田氏は言う!どーいうこと!?


『連合』といっても中身は左右バラバラ


池田
「そもそも前原代表には、民進党を解党する動機がないんです。彼は、離党ドミノが止まらない党を立て直すため、蓮舫氏に代わり、自ら名乗り出て新代表に就任した。その張本人が、自ら進んで党を売り渡す交渉をする理由などあるはずがないのです」

 てことは、誰が党を売り渡したの?

池田
「民進党最大の支持母体である、連合です。
彼らは、民主党政権時代のように、再び政権与党のスポンサーとして大きな影響力を行使したかった。しかし民進党が不甲斐なさすぎて心底あきれていた。民進党を見限って政界再編に期待していたのは、有権者だけではなく連合も同じだったのです」

 でも労働組合は左寄り(共産・社会主義思想)だから、保守の小池さんとは最初から合わなかったんじゃ?

池田
「まず、連合を構成する各労働組合について解説しましょう。
労組というと左寄りのイメージがあるかも知れませんが、実は現代の労組では、保守寄りからガチの極左まで幅広いんです。
影響力が大きいのは組合員数が多い労組になりますから、必然的に大企業系が中心になる。
つまり、一部上場企業の正社員が中心なわけで、昔と違い、みんな現状に満足しているんです。だから保守的な思想の労組も増えてきました」

 なるほどー。でも、保守思想に変化したのなら、民進党じゃなく、最初から自民党を支持すればいいのに。

池田
「一般組合員の立場からすればそうでしょう。
でも、労組活動を熱心にやっているコアな人たちと上層部は、今もガチガチの左派なんです。
“反国家”と“アンチ資本家”という基本姿勢は変わらない。
普通の組合員たちは、お付き合いで組合に加入して、渋々組合費を徴収され、時にはデモに参加させられるわけです。
でもその行為が、極左思想の上層部に資金力と動員力を与え、政治的な影響力を持たせる結果につながっているのです。
しかも大きな労組が集合した連合のトップともなれば、政府首脳や経団連などの財界トップとも肩を並べる扱いを受けますし、その発言や行動が政財界に与える影響は絶大になるのです」

 そういうことだったのか!


公務員労組『自治労』の激ヤバな実態とは?


 続いて、極左に分類される『全日本自治団体労働組合』(自治労)と『日本教職員組合』(日教組)の話に移ろう。
公務員は安定した立場なのに、なんで反国家的な思想の極左になっちゃうの?

池田
「ほぼ地方公務員で構成される自治労は、連合内で最大となる約80万人の組合員数を誇る組織です。
公立学校の教職員を主体に構成された日教組は約24万人。
両者ともかなりの影響力を持っています。
確かに大多数の人たちは、生活の安定に魅力を感じて公務員になっている。現状に満足している人がほとんどだし、保守的な考え方を持つ人も多い。極左思想を持っているのはコアな組合員だけです。
ただ、地方公務員の実総数は全国で約300万人以上なので、たとえ一部でも約80万人という膨大な数になるのです」

 その80万人は極左思想に染まっているの?

池田
「そうでもありません。組合費を徴収されているだけで、具体的な活動には消極的な人いる。デモなど、動員がかかった際に仕事を休んでまで参加するほどの熱心な組合員は約20万人ほどです」

 それでも20万人かあ!

池田
「そう、一部とはいえ大きな影響力がある。彼らの活動が、最近で言えば民主党の足を引っ張り、凋落させるきっかけを作るのです」

 支持する政党を凋落させるってどういうこと!?

池田
「例えば安保法制への反対運動です。
安倍政権が集団的自衛権の行使を“憲法の拡大解釈”でやろうとしたとき、国会前などで大きなデモが続きましたよね?
まさにあれを動員・指揮したのが自治労です。
デモ隊の前方に『SEALDs(シールズ)』などの学生団体を配置して若者がカメラに映るようにしていましたが、80%以上を占めていたの中高年ばかり。彼らの多くは、デモのために仕事を休んで全国から駆けつけた地方公務員たちだったのです」

 マジかあ!!

池田
「尖閣諸島を巡る中国との問題や北朝鮮の挑発行動などで、当時の国民の多くは日本の安全保障に危機感を持っていた。
そんな状況のなか、安保法制そのものを否定してしまっては国民からの支持を得られないのは明白です。
だから民主党執行部は、安倍政権が“強引な憲法解釈”で集団的自衛権の行使を可能しようとする“手法”を批判したかったのです。
正面から憲法改正の議論をしろとね。
しかし憲法改正の議論さえ問題外だと考える自治労は、その動員力を駆使して“安保反対”のデモを盛り上げた。
それに民主党の左派議員たちも乗っかった。あのときを境に民主党の支持率は一気に凋落したのです。
多くの国民が、『周辺国が騒がしい今の状況下では、彼らに政権を任せることはできないな』と考えたからです」

 保守思想の小池さんとは最初からうまくいくわけがなかったんだね。

池田
「だから連合は組織全体で希望の党を支援することを土壇場で諦め、各労組ごとにバラバラの状態で選挙応援をすることにしたのです。連合は、小池さんに乗っかれば政権に近づけるかもしれないという権力欲に負けて民進党を見放し、小池さんが思い通りにコントロールできない人だと判断するや、一転して手を引いたわけです。
本当に無責任。
選挙の直前に野党第一党が溶けてなくなるという前代未聞の大混乱を引き起こした連合は、国民に対して責任をとることもなく、再び選挙後に暗躍することでしょう」



週刊プレイボーイ 2017年 No.43号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.101特別編」より

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