Last updated 2018-03-23

軍事機密もスキャンダル情報も他国にダダ漏れの日本は超ヤバい!!

大物国会議員のメールも敵国に流出しまくり……



池田
「今週は防衛省が検討中の『サイバー防衛隊』増強案について解説したいと思います。その内容があまりにお粗末だったからです。増強案の骨子は、現在110名ほどのサイバー防衛隊を1000名規模にまで増員して、日本側からもサイバー攻撃を仕掛けるための研究部門も新設するというものです」

 どこが問題なの?

池田
「サイバー防衛隊は、防衛省内や各自衛隊内のネットワークを監視し、外部からサイバー攻撃を受けたら対応する組織です。つまり防衛省と自衛隊の内部しか守らない。しかしサイバー攻撃を仕掛ける連中というのは、守りの堅いところではなく国家の中枢の侵入が簡単なところを狙ってきます」

 例えば北朝鮮からも侵入されちゃうの?

池田
「つい先日、北朝鮮のサイバー攻撃能力の一端がアメリカ議会で明らかになりました。北朝鮮のハッカー集団がバングラデシュ中央銀行のコンピューターに侵入し、約92億円ものお金を強奪したというのです。これはアメリカ上院の委員会で、セキュリティーソフト大手『シマンテック社』の幹部が証言したもの。つまり北朝鮮は核開発とミサイル発射実験を繰り返すだけでなく、アメリカとサイバー攻撃の応酬をできるほどのIT技術を持つ実力者なんです」

 超強敵じゃないか!

池田
「北朝鮮には『180部隊』と呼ばれるサイバー攻撃専門部隊のほかにも、ハッカーを利用して世界各地にサイバー攻撃を仕掛ける極秘部門もあると言われています。情けないことに、日本のサイバーセキュリティーレベルは北朝鮮に遥か遠く及ばない世界最低のレベルです。これは世界の軍事関係者の間では常識となっている」

 ヤバイなぁ……。

池田
「攻撃を仕掛けてくる連中の標的は防衛施設だけではない。テロと同様、守りの弱い部分が狙われるのです。例えば日本の中枢である永田町の議員会館に設置されているパソコンは、連日サイバー攻撃を受けまくっています。実際、国会議員たちのメールのやり取りは他国に筒抜けだと思ったほうがいい」

 そ、そうなの!?

池田
「驚くべきことに国会議員の大半は、議員会館にサイバー攻撃が繰り返されている事実すら認識していません。本人たちに自覚がないので、元首相や元防衛大臣といった、防衛省からの国防政策に関する機密資料をやりとりしている人までもノーガードでメールをやり取りしている。重要な国防情報もダダ漏れ状態です。だから防衛省内部だけを強化しても無意味で、全体的なセキュリティー強化を図らなければならないのです」

 てことは霞ヶ関もユルユル?

池田
「全省庁が同じ状態です。加計学園問題では、内部文書が文科省の官僚のEメールに残っていてスキャンダルになった。しかし各省庁はそれどころではないレベルの機密文書を扱っています。もし官僚が職場のメールを個人のスマホに転送すれば、他国は容易にハッキングして超重要情報を入手できてしまう。国家公務員が職務上の機密情報を個人の端末に転送する行為は制限されていません。一刻も早い法整備が必要です」

 背筋が凍る話だな……。

池田
「トランプ大統領も、ロシアに弱みを握られているのではと疑われていますよね。では、もし中国や北朝鮮などに日本の総理や閣僚や高級官僚の決定的な弱みを握られ、脅迫されたとしたら? 日本を動かす要人が、国益を無視して他国の利益のために行動するかも知れない」

 どうすればいいの?

池田
「他国のように凄腕のハッカーや天才プログラマーを起用して、国の中枢全体のセキュリティを強化すべきです。優秀ならば外国人であっても、たとえ犯罪歴があっても密かに採用し、日本の守りを一夜にして世界最高水準に押し上げるくらいの本気度で臨まなければ、北朝鮮にも永遠に追いつけないでしょう」



週刊プレイボーイ 2017年 No.32号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.92」より

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