Last updated 2018-03-23

加計学園問題と文部科学省の天下りと財務省の意外な関連性

前文科省次官の暴露は天下り消滅への逆ギレ?



池田
「今週は加計学園問題のお話です。実はこの件、安倍政権のピンチでもなんでもありません。むしろ未来の教育環境の悪化を招きそうな事態なのです」

 どういうことだ!?

池田
「この問題の要点は、加計学園の獣医学部新設申請について、安倍首相周辺から内閣府を通じて文部科学省に“働きかけ”があったのではないかという点です。確かに文科省はこの50年間、新たな獣医学部の設置を認めてこなかった。しかしそれは法で禁じられているのではなく、文科省が“行政府の判断”で獣医師を増やす必要がないとしてきたに過ぎません。当然ですが、文科省を含む全行政府のトップは、国民が選んだ国会議員から選出された内閣総理大臣です。つまり安倍首相が各大臣や部下を通じて、各省庁に指示や命令を出すのは問題どころか当然の行為なのです」

 じゃあなんで文科省の前事務次官は、首相周辺から指示があったと騒いでいるの?

池田
「実はこの騒動、文科省の天下り事件が発端なのです。天下りに関しては、霞が関の全省庁の官僚たちが長い時間をかけて抜け穴を必死に考え、今や野党議員や記者には解明不可能なほど巧妙なシステムを構築しました。その仕組みの詳細は別の機会で解説しますが、霞ヶ関は一丸となって天下り問題が再び表面化しないようにしてきたのです。しかし今年1月、文科省の杜撰すぎる天下りが発覚した」

 そんな事件あったなー!

池田
「文科省とは、霞が関で非常に地位の低い役所です。東大の場合、官僚を目指す学生で成績下位の連中が主に入省します。そんな文科省で天下りが発覚した当時、他省庁の官僚たちは驚き、呆れかえっていましたね。例えば『いまだにそんな幼稚な方法で天下りをしていたなんて、何十年経ってもバカはバカのまんまだだな!』といった反応です。その天下り事件の責任をとって辞任したのが、加計学園問題で安倍首相周辺から指示があったことを示すメモの存在を暴露した文科省の前事務次官、前川喜平氏なのです。省のトップに上り詰めたのに美味しい天下りが絶望的になり、ヤケを起こす気持ちは分からなくもありません。しかし明確な国家公務員法違反の天下りを黙認していた張本人が、行政府のトップである安倍首相周辺からの指示には『行政の公平性が損なわれる』などとキレイ事を言ったところで、説得力は皆無です。前川氏はただ、全省庁の官僚を怒らせただけなのです」

 どうして怒るの?

池田
「特に財務省の怒りっぷりは相当なものです。私が先日会った財務官僚の話を要約するとこうなります。『天下り問題で俺たちに大迷惑をかけただけでは飽き足らず、このタイミングに余計な記者会見を開いて、森友学園問題が再燃したらどうするつもりだ!? しかも前川は天下り事件の責任者のくせに、正義漢ヅラして会見しやがって。消滅した天下りの代わりに選挙でも狙ってんのか? やっぱ国家公務員試験でロクな成績もとれない文科省の落ちこぼれどもには、思い知らせてやる必要があるな!』といった感じです。今後、長期的なイジメ作戦が発動されそうな気配です」

 イジメってどんな!?

池田
「予算と税金を握る財務省に、文科省と前川氏は連続的な実害を与えたのです。財務省は“財政事情”を理由に、教育予算を抑え込む可能性が高いと思います。教育無償化や私立大学に対する私学助成金、奨学金制度などの予算が何十年も冷遇されるかもしれない。教育に関係しなくても、文科省が所管する文化財の保護や宇宙開発など、科学技術振興予算も例外ではないでしょう。数ヶ月前まで文科省のトップだった前川氏のやらかした行為は、安倍首相やひとつの学校法人の問題にとどまらず、日本人全体の未来に大きな負担を残す結果になるかもしれないのです」

 財務省も大人げないなー。




週刊プレイボーイ 2017年 No.26号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.86」より

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