政治家をダメにするのも鍛えるのも選挙制度だ!!
池田
「今週は政界の“下半身事情”についてお話ししたいと思います。政治の世界では昔から、『下半身には人格がない』という言葉が有名です」
そんな言葉が有名なの!?
池田
「政治家は国民のお手本となるべき立場ですが、色恋沙汰に関してはやはり“ただの人”であり、聖人君主でいることは難しいという意味で使われます。しかし最近の国会議員の下半身事情は、人格が破綻しているのではないかと思うほどヒドイものが多すぎますね」
中川俊直衆院議員や宮崎謙介元衆院議員などですね?
池田
「中川氏は不倫相手とハワイで“重婚式”を挙げた末にストーカー行為に及ぶ鬼畜ぶり。宮崎氏は夫人の金子恵美衆院議員の妊娠中に不倫を暴露されました。もはや下半身だけではなく上半身の正気をも疑うべきケースばかりです……」
最近と昔で、政治家の下半身事情に違いはあるの?
池田
「私は政治家の不倫関係や愛人関係の実例をたくさん知っていますが、昔は今のように明るみになることが少なかったし、表面化しても大きな問題にはならなかった。これは決して時代の差ではありません。昔から不倫や浮気は世間から叩かれたし、どこの奥さんだって猛烈に怒るのは同じ。昔の政治家の共通点は、不倫相手や愛人たちと、本当に真剣に付き合っていたことですね。私の知る限り、彼らの不倫は同じ相手と何十年も関係が続くのは当たり前で、ほとんどが“死ぬまで面倒を見る”覚悟で付き合っているのです。男女の関係であると同時に人間同士として深い付き合いをしているので、決して不倫相手と関係がこじれないのです」
差し支えない範囲で、実名を挙げられませんか?
池田
「例えば田中角栄元首相には、元芸者の辻和子さんや、角栄の金庫番と呼ばれた佐藤昭子さんという愛人たちと終生の関係を続けました。また、道路族のドンと呼ばれた古賀誠元自民党幹事長は、銀座のクラブママが長年の愛人でした。当時そのママに取材が殺到しましたが、彼女は古賀さんのことを褒めまくった上で『一生ついていく』と言い切った。古賀さんは不倫が発覚したのに、逆に男を上げる結果になったのです」
スゲーなあ! 現役議員でスゴイ人はいないの?
池田
「現役議員の実名を明かすことは難しいですが、女性との深い関係を長年継続できる人は“人間関係の達人”でもあるので、首相や派閥の親分になるほどの実力者ばかりですよ」
なぜ最近の議員は人間関係の達人がいないの?
池田
「小泉純一郎政権の頃から与野党で定着した、国会議員の公募制が諸悪の根源です。このシステムには致命的な欠陥がある。候補者を原則として地方の政党支部が選定するところです。つまり都道府県議会議員や市町村議会議員たちが、“格上”の国会議員を選ぶわけです。地方議員たちは常に、当選後に自分たちをバカにしないような人を選びたがる。表面的な経歴や見た目の印象が良い人の中から、政治経験のまったくない人を選ぶのです。だから選挙戦も党や地方議員におんぶに抱っこ。当選後も地方議員たちの影響力が強く残るわけです」
それと国会議員の下半身事情に何の関係が?
池田
「昔の選挙は、候補者と家族の総合力が試される戦いでした。選挙における配偶者の影響力はメチャクチャ大きい。だから不倫で配偶者を怒らせようものなら選挙など戦えないんです。異性関係にはリスクを承知で、強い覚悟を持って本気で臨む必要があったのです。しかし公募制が定着して以降、国会議員は選挙戦の厳しさも人間関係の困難さも痛感しないままに当選回数を重ね、根拠の乏しい自信やプライドだけを身につけてしまう。だから自分の交際相手ひとり満足も納得もさせられず、結果的にみっともない下半身事情まで晒すことになるのです」
週刊プレイボーイ 2017年 No.22号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.82」より