在日韓国・朝鮮人の目に祖国の荒廃はどう映るか
池田
「北朝鮮情勢が緊迫してきましたね。先週は、2001年の同時多発テロ以降、16年間にわたり対テロ戦争に連戦連敗を重ねるアメリカが、このままだと朝鮮半島もカオス化させてしまうというお話でした」
そうなれば日本国内への影響が心配になります。
池田
「アメリカが無責任な攻撃を行なったイラクやシリアは、現在もカオスそのものです。北朝鮮の混乱も長引くでしょう。隣国の日本国内にも、イスラム国のようなテロ組織が誕生する可能性だってあるのです」
日本にテロ組織が!?
池田
「信じられないでしょうが、その危険性は大いにある。最大の懸念材料は、在日韓国・朝鮮人の存在です。先に強く言っておきますが、これから言うことは、断じてヘイトスピーチ的な差別の話ではありません。むしろ、彼らとわれわれ日本人が長く平和に共存した時代が終わるかもしれないことを悲しみ憂う話なのです」
まずは在日の韓国・朝鮮人に関する基礎知識が必要ですね。
池田
「現在、日本には約48万人の在日韓国・朝鮮籍の人々がいます。約70年前に日本が太平洋戦争に敗北して朝鮮半島に対する支配権を失い、その後7年間にわたり連合国の占領を受け続けている間に朝鮮戦争が勃発しました。日本に代わって朝鮮半島を事実上支配していたアメリカがこの戦争に勝利できなかったせいで、朝鮮半島は南北に分断された。その結果、戦前から日本に住んでいた人や朝鮮戦争の難から逃れるために日本に移り住んできた人たちは、日本国籍か韓国国籍か北朝鮮国籍を選ぶことができた。つまり彼らは、自らの強い意思で祖国を選んだ人とその子孫なのです」
そうですね。
池田
「そして今、アメリカが北朝鮮への武力行使をにおわせ、緊張感を高めている。自分の祖国の代表がアメリカ軍に殺害されるだけならまだしも、“その後”が重要なのです。先ほど申し上げたとおり、アメリカが金正恩政権を打倒しても、北朝鮮に平和は訪れません。イラクやシリアのように、死の恐怖が蔓延するカオスが待っているのです。考えてみてください。祖国の荒れ果てた映像と混乱に陥る同胞たちの姿を、繰り返しニュース映像で見せつけられるのです」
イヤだろうな……。
池田
「普段の生活では祖国のことなど意識していない人でも、平常心でいられるでしょうか? 思い出してください。平和ボケした日本人だって、2010年に中国漁船が海上保安庁の船に体当たりした映像を何度も見て、多くの人が心底怒ったことを。在日韓国・朝鮮籍の人々だって同じです。全身の血が沸騰するのではないでしょうか?」
確かに……。
池田
「もし、大混乱の祖国を支援するための組織が志願兵を募集すれば、全員じゃなくても、多くの人々が参加するのではないでしょうか。それぞれができる範囲の行動を起こそうという心境になるのではないでしょうか? 私がその立場なら、迷わず参加すると思います。祖国を攻撃した国の施設が身近にあれば、攻撃するでしょう。それが無理でも、積極的な妨害工作や情報収集に協力するくらいならできるかも知れない」
在日米軍基地か……。
池田
「アメリカ政府もそうですが、日本の政治家も官僚も、そういう人間の当たり前の心情を理解する感覚が欠落しています。私たちが日本を愛しているように、彼らも祖国を愛しているのです。もし祖国のために行動を起こした一部の在日韓国・朝鮮人による事件が表面化したとき、日本人はどう感じるでしょうか? そこに差別や文化的な摩擦が起きる悲劇を、私は最も恐れているのです」
絶対に避けるべき事態だね。
池田
「そうさせないためにも、今こそアメリカ一辺倒の外交政策を改め、北朝鮮問題が日本にとっても国家存亡の危機なのだと、皆が真剣に捉えるべきです」
週刊プレイボーイ 2017年 No.19・20合併号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』vol.80」より