Last updated 2018-03-23

秘書は地球5周分どころか月に行けるほど燃料を使う!!

地元秘書はクルマも維持費も自腹だった!


池田
「民進党の山尾志桜里政調会長の政治資金収支報告書に記載された多額のガソリン代が問題になっています」

 1年間で地球5周分にも匹敵する額だと、新聞やテレビが騒いでいますよね。

池田
「山尾さんがどうだったかは別にして、政治家が使うガソリン代が地球5周分というのはウソだと決めつける報道姿勢は間違っている。政治家の秘書のガソリン代は、月に行けるほどかかる場合もあるからです」

そんなに!?

池田
「私が仕えた松岡利勝元農林水産大臣の選挙区は、1996年に中選挙区から小選挙区になって狭くなったとはいえ、2市22町村という広大なエリアでした。そこを地元の秘書たちは毎日クルマで走り回る。走行距離は1日で100㌔から150㌔くらいです。秘書の世界に週休2日制はありません。月に2、3回休めればいいほう。だからひと月で軽く3000㎞以上、年間で地球1周分は走ってしまう。松岡事務所には、クルマで地元を回る秘書が最終的には15人ほどいたので、1年間で地球15周分のガソリン代がかかっていた。年間のガソリン代は800万円くらいだったと記憶しています」

 ひょえ~!やっぱり政治はカネがかかるなあ。

池田
「私は東京の秘書だったので痛みはなかったですが、当時、熊本の地元秘書から泣きながら相談をされたことがあります。彼の悩みは、使用するクルマが自前の持ちこみで、ガソリン代以外の維持費が自腹だったことです。これは特別なケースではなく、お金のない1年生や2年生議員の秘書たちはみんな同じような状況でしたね」

 1年で地球1周分も走ったら、個人のクルマなのに走行距離がシャレにならないよなあ。

池田
「タクシー並みの過走行です。当然、下取り価格は確実にゼロ。しかも走行距離的に、エンジンオイルを年8回、タイヤも年2回は交換しなきゃならない。3年で12万㎞以上も走れば、バッテリーやブレーキパッド、サスペンションもダメになる。それらがすべて自腹です」

 そんな仕事、絶対に辞めたくなる……。秘書さんってお給料が高いのかな?

池田
「当時、25歳の地元秘書の月給が約14万円でした。しかも社会保険なし。東京勤務の私も選挙のときには地元入りしますが、その度に地元秘書たちのクルマがグレードダウンしていく様が痛々しかった。秘書になる前に買った新車のセダンがボロボロになり、次に見たときは中古のコンパクトカーに変わっていて、最後は廃車寸前の軽自動車になっていた。その様子を見る私の方が涙したものです」

 仕える議員が出世すれば状況が良くなるの?

池田
「多少は好転します。松岡さんの場合、当選3回を超えたあたりから徐々にカネ回りが良くなりました。でも、地元秘書のクルマが持ちこみ制なのは最後まで変わらなかった。当時、自民党内でも屈指の資金力を誇る松岡事務所でさえそんな具合でしたから、ほかの議員の秘書さんは推して知るべしです。鳩山家のような大金持ち議員の事務所は別でしょうけれども」

 では、山尾議員のガソリン代は正当な額ってこと?

池田
「いいえ。彼女の選挙区の広さ、秘書の人数、現代のクルマの燃費に鑑みれば、明らかに不自然。しかも彼女は公募議員なので日々の地道な地元回りを繰り返して当選した人ではない。到底信じられるものではありませんね。もし本当なら、ガソリン代だけでなく、タイヤやエンジンオイルなど、消耗品費などが計上されていなければおかしい。ただ、勉強不足の無知な新聞記者たちが自分たちサラリーマンの常識でモノを考え、政治家の秘書が地球5周分も走るわけがないという決め付けで報道する姿勢には大きな疑問を感じるのです」

 山尾氏も記者も、どっちもどっちってことか。



週刊プレイボーイ 2016年 No.18号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』 vol.32」より

LinkIconIndex に戻る