日本政府の放漫経営がゼロ金利政策を生んだ!!
池田
「おそらく来週、平成28年度の国家予算が成立します。しかし、その中身を問題視する声がどこからも聞こえてこない。私は、それこそが大問題だと思っています」
確かに、国会では1月から予算審議が行なわれているのに、その中身に関する批判や検証の報道はほとんど見られない。
池田
「どうでもいい国会議員たちの不倫や失言ばかりが報じられている。新聞は、来年の消費税率引き上げ時に軽減税率の優遇を受けて自分たちだけが得をしたいから、安倍政権に迎合しているのです」
予算案のどこが問題なの?
池田
「最も問題なのは、年金や医療費などを合わせて30兆円以上という途方もない額の社会保障費について、削減せよという声が一向にあがらないこと。今度の総予算規模は約96兆円ですが、純粋な税収は約57兆円なんです。さらに、政府資産の売却益が約5兆円。残りは国債発行という名の借金です。
つまり、借金をせずに健全な国家経営をしようとすれば、正常な予算規模は約62兆円。しかし、国債の利払いと返済で、約23兆円が瞬時に消える。純粋に使える額は約39兆円なのです。
そのうちの30兆円以上を社会保障費に使うなど尋常じゃありませんよ!なぜ、現役世代や若者がブチギレないのでしょうか?」
でも、社会保障費って仕方のない使い道なんじゃないかと思っている人も多いのでは?
池田
「それはもう、霞ヶ関と永田町によるマインドコントロールにかかっていると思わざるを得ません。確かに、もともと社会的弱者である高齢者を救うために現役世代が支えようとして作られた制度ですが、現在の日本の高齢者は、経済的に世界一強い存在なのです。
日本人の個人資産総額は、実に約1700兆円で、これはなんと、イギリス、ドイツ、フランスの総額とほぼ同じなのです。
しかし、このうちの約80%を、人口比の約25%でしかない65歳以上の高齢者が有しているのです。アメリカでは、富の70%を1%の超富裕層が独占していますが、逆に言えば、99%のアメリカ人よりも、日本の高齢者のほうが豊かなんです」
まったく弱者じゃないな。
池田
「そのとおり。ひと昔前は、公共事業費が無駄使いだと批判され続けました。しかし、公共事業は多くの人たちの共有財産だし、雇用も生み出します。景気も刺激されるし、一定の経済効果は確実にあるのです。もちろん、ムダな施設は個別に批判すればいい。しかし、今回の公共事業費は約6兆円です。
それに対し、社会保障費という使い道は、まさに砂漠に水をまくようなもの。ほとんど何も生み出しません。当然、身寄りも資産もない高齢者や障害者、孤児など、本当の弱者には手当てをすべきです。もっと言えば、外国籍の人たちが生活保護や健康保健の恩恵を得られて、懸命に働く現役世代が苦しむ制度ってなんなんですか?」
確かに……。
池田
「でもね、高齢者たちが悪いわけではないんです。彼らの票を目当てに、自分たちが当選したいばかりに間違った政策を続けてきた政治家がまず悪い。それ以上に悪いのは、間違った金利政策を継続してきた財務省なのです!」
どういうこと?
池田
「長年のゼロ金利政策です。もし金利を正常な数値に保っていたら、高齢者たちの莫大な個人資産は利益を生み続けていたのです。銀行に預けても増えないから、年金が必要なんです。お金持ちだって、自分たちが何歳まで生きるかはわからない。そりゃあ貯金が減るのは不安に決まっています。
日本政府は、収入に見合わない財政支出をバカみたいに続けるため、その尻拭いとして、国債の金利を低く抑えるためのゼロ金利政策を続けてきたのです。悪いのは、財務省と、それに従う政治家たちなのです!!」
週刊プレイボーイ 2016年 No.14号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』 vol.28」より