Last updated 2018-03-23

拉致被害者も救わないこの国は原発付近の住民も守らなかった

本当に放射能は身体に悪いのか?


 福島の原発事故直後、池田氏は避難指示区域内に単独で潜入したのだという。

池田
「大量の放射能が漏れ続けていた当時、避難を拒んだ一部の住民を除けば、福島第一原発から20㌔圏内に民間人として立ち入ったのは私だけだと思います。火事場泥棒のような連中さえもいませんでしたから」

 なぜそんなに危険なエリアに潜入したのか?

池田
「広島や長崎の原爆で被爆した人でも、長寿といえるほど元気で長生きしている方は大勢いる。酒飲みのヘビースモーカーでも、90歳以上まで生きる人がたくさんいる。私はずっと、身体に多大な悪影響があると世間が信じていることの多くには、誰かが得をするための操作が加えられているのではと疑ってきたんです。放射能も本当に身体に悪いのだろうかと」

 それを確かめるために!?

池田
「それも理由のひとつです。自分が被曝した経験もないのに、放射能は危険じゃないなんて人さまに言えないですから。爆発から間もないときに福島第一原発のゲート前まで普段着で行ったので、かなりの被曝量だったと思います。そしてあれから5年が経ち、健康被害どころか、風邪もひいていません。
 もうひとつの理由は、この国が戦争と同レベルの国家的危機に陥った現場を自分の目で見ておきたかったからです。新聞やテレビの記者たちは安全な場所でヘルメットをかぶって騒ぐだけで、肝心なことを何も伝えてくれませんでしたから」

 実際に現場で見た光景は、どのようなものだったのか?

池田
「この国の“本当の姿”です。国家が果たすべき第一の責務は、国民の生命と財産を守ること。しかし、公務員たちがその責務を遂行する姿を、ただの一度も目撃できなかった。
 避難指示区域内に留まった一部の住民は、区域外に生活必需品を買い出しに行ったり自宅に戻ったりと、自由に自家用車で往来していました。普段着で。
 一方、自衛官や警官たちはご立派な防護服を着ていたが、誰ひとりとして住民を避難指示区域外に連れ出す作業をしていなかった。当時の日本政府は、原発付近は生命に危険が及ぶと判断したのです。だから避難指示を発令したのです。なのに、国民の生命を守るべき公務員たちは、その責務を放棄していた。
住民がどう希望しようと、強制的に安全な場所に連れ出すことが彼らの任務なのです。私が20㌔圏内をウロウロしていたときも幾度か自衛隊の車両とすれ違いましたが、一度も声をかけられなかった。楢葉町などの役場にも行きましたが、庁舎内は完全に無人でした。この国には、“真の安全保障”が存在していないのです」

悲しい気持ちになるな……。

池田
「例えば、どこの国でも、国民が他国に殺害されたり不当な理由で拘束を受けたりすれば、猛烈な行動に出ますよ。そうしないと自国民が黙っていませんから。アメリカなら、国民に大きな危険が及ぶ可能性があるだけで戦争に踏み切ります。中国だって、日本の巡視艇に漁船で突っ込むという犯罪行為を行なった船長でさえ、全力で奪還しにきました。
日本はどうです? 北朝鮮に70人以上も拉致されておきながら、まったく取り返しに行かない。もし自衛隊が奪還のために北朝鮮まで乗りこんだとしても、これは断じて憲法違反ではない。国際紛争ではなく、自国民の救援なのだから」

今後、日本の安全保障は根本から変われるでしょうか?

池田
「当面は無理。国家の安全保障どころか、首相の警備もおろそかですから。だって、首相が毎日どの店で夕飯を食べているか、新聞で公開されているんですよ。一国のトップが飲み食いする場所を店名まで具体的に発表するような平和ボケの国は、世界中を探しても日本だけ。もしテロリストや敵対国が本気で命を狙いに来たら、明日にでも殺害されてしまうでしょう」


週刊プレイボーイ 2016年 No.12号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』 vol.26」より

LinkIconIndex に戻る