Last updated 2018-03-23

甘利大臣のスキャンダルは贈収賄ではなく詐欺事件だ!!

秘書も告発者も異常!甘利氏は脇が甘かった


 今、政界は甘利明経済再生担当相に関する「政治とカネ」の問題で大騒ぎだ。

 池田氏は、第一次安倍政権時に農林水産相だった松岡利勝氏のもとで大臣秘書官を務めていた。当時、松岡氏にも政治とカネの疑惑が浮上し、池田氏は疑惑の渦中にいた。それだけに、今回のスキャンダルに対する視点の質も深さも違う。池田氏が数々の疑問を指摘する。

池田
「まず、甘利さんはUR(都市再生機構)への影響力を持っていません。だからURとの億単位のトラブルなんて解決できるわけがない。URに影響力を持つ族議員は別にいる。大臣でも横入りはできません。族議員をナメんなよという話です」

 でも、甘利氏本人がお金を直接受け取ったようだし……。

池田
「甘利さんは当選11回、大臣経験も5回を数える、政界トップのキャリアを持つ政治家です。そんな大物が危険を冒してまで、今回のようなブラックな口利き案件のために、たったの100万円を本人が直接受け取るなど断じてあり得ない。

清島建一という秘書が甘利さんにウソの事情説明をして安心させて受け取らせたのでしょう。
これは同時に、今回、週刊文春に告発した人物を安心させるための行動でもある。『依頼内容は大臣に伝わっているから安心してね』と。でも、本当は伝わっていないわけです」

では、甘利氏はURに影響力がないのに、秘書がURの担当者に圧力をかけたり国交省の局長を買収したってこと?

池田
「URの国会担当者が政治家の事務所に呼び出されるのは普通のことです。それが仕事。
 また、国交省の局長まで出世した人が、5万円の商品券を受け取ったというのは絶対にウソ。東大に入って国家一種試験に合格し、さらに出世した努力と我慢の積み重ねを、5万円で棒に振るリスクを誰が冒します?
 つまり、秘書はURの担当者や国交省の官僚に働きかけているフリをして告発者を安心させ、さらなる金品や接待を引き出したってことですよ」

 では、告発者については?

池田
「告発者の一色武さんは、自分で別の会社を経営しながら、建設会社の総務担当として動いている。
その建設会社は、不法投棄された大量の産業廃棄物が埋められている土地をわざわざ借り、そこは道路建設の予定地でもあり、URから多額の金を引き出そうとしていた。
しかも、一色氏は過去に姓を何度も変えており、右翼団体にも属していた人物。すべて普通じゃない動きですよ。
 しかも、贈賄用の紙幣を新札に変えて連番にしたうえでコピーするやり口と発想も異常。ちなみに、紙幣の複写はニセ札製造に準ずる重大な違法行為。それを『見本』という印字なしで掲載した文春も問題です」

今回の騒動は、タチの悪い秘書と、告発者が起こしたもので、甘利氏は巻き込まれただけ?

池田
「私はそう思います。今回のような、誰だって一見して怪しいとわかる人物にカネをタカり、主人を辞任に追い込むなんてクズとしか言えない。もちろん、秘書の管理ができていなかった甘利さんの責任は大きいですが、今回のスキャンダルは、政治とカネの問題ではない。クズ秘書による、単なる背任、横領、詐欺事件ですよ」

 政治とカネと言えば、昔は悪い政治家の泥を秘書がかぶるものだったが、今回は逆だと……
 また、経済政策において中心的な役割を果たしていた甘利氏の辞任で、大詰めを迎えたTPP交渉やアベノミクスへの影響を危惧する報道が目立ちますが?

池田
「なんの影響もありません。TPPに関しては、すべてを把握している役人が国会答弁の原稿を作るので、文字さえ読めれば誰でも後任が務まります。アベノミクスは、もうそれ自体が限界を迎えているので、誰がやっても変わりありません」

 池田氏は、甘利氏と同様の爆弾を抱える議員を何人も知っているとのこと。続報を待て!


週刊プレイボーイ 2016年 No.7号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』 vol.21」より

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