Last updated 2018-03-23

“事実上の大統領選”にもできる自民党総裁選が機能しない理由

“小泉総裁選”で自民党はビビった

 今週は自民党総裁選について解説しましょう。

 9月8日、野田聖子前総務会長は、自民党総裁選への出馬を断念したと発表しました。これで9月20日の総裁選は安倍首相の無投票再選が決定。


自民党の総裁選は、事実上、日本の総理大臣を選ぶイベント。なのに国民の関心は盛り上がらない。なぜでしょうか? 野田氏不出馬の舞台裏をあれこれ解説する報道だけでは、その理由は見えてきません。

 結論から先に言うと、自民党自身が、総裁選の重要性と可能性を台無しにしているのです。「重要性」とはもちろん、自民党が政権与党である限り、この選挙で日本の総理大臣が決まるという事実。「可能性」とは、総裁選のやり方次第では、国民が“直接的に”日本の最高指導者を選べる、“事実上の大統領選挙”に出来るということです。実は、その可能性が現実に近づいた瞬間が過去にありました。

 それは私も直接携わった、平成13年(2001年)4月、小泉純一郎首相が誕生した総裁選です。

 この時、下馬評では「当選など到底不可能」と言われた小泉氏が、「自民党をぶっ壊す!」と訴えたことで、日を追うごとに自民党員の圧倒的な支持を集めていきます。
 その様子は、当時、同じく総裁選に出馬していた亀井静香氏の選挙陣営で、秘書団の指揮を執っていた私に、恐怖にも似た鮮烈な印象を与えました。

 私のもとには連日、選挙区の有権者や友人、知人から、果ては親戚まで、「小泉さんを支持したいんだけど、どうやったら今から党員になれるのか」という問い合わせが殺到しました(私は敵陣営なのに!)。これはほぼ全ての自民党国会議員の事務所でみられた現象です。

 結果はご存知の通り、小泉氏の圧勝でした。この時、私は「自民党も捨てたものではないな。これからの日本はこのやり方で、国民が直接的に強力なリーダーを選べる、真の民主主義になっていくのだろうな」と確信したものです。

 自民党の党員数は約20年前まで、年間4000円程度の党費を国会議員と支持団体が立て替えるという“名義借り”で維持されていました。

 しかしその名義借り行為は禁止され、党員数は減少の一途をたどっていた。ところが「小泉総裁選」を機に、党費が完全自己負担になったにもかかわらず、党員数が急増したのです!しかし自民党は、そのチャンスを自ら潰します。

 小泉総裁選で「民主主義のチカラ」に恐れをなした自民党は、一般の党員票と国会議員票の割合を、圧倒的に国会議員票有利になるよう、ルールを変更してしまったのです……

 これで、党員であることの価値も魅力も無くなった。当然、自民党員の数は壊滅的に減っていきます。

 そしてこれらの様子を、私よりさらに近い所から見ていたのが、当時、内閣官房副長官や自民党幹事長を務めていた安倍氏だったのです。

 しかし不思議なことに、強い日本と強いリーダーシップを目指しているはずの安倍首相が、この自民党総裁選の仕組みについては一切触れようとしません。
それどころか自民党は今、党員になる魅力が一切ない状態のまま、党の財政基盤強化のために新規党員を獲得するよう、所属議員にノルマを課しています。
 
でも、党員を増やしたければ、「月に300円ほどの党費を払うだけで、日本のリーダー選びに直接参加できる」という、魅力ある仕組みにすればいいだけなんです

 そんな“小規模な経済感覚”さえないのだから、アベノミクスの肝となる、効果的な「第3の矢」がいつまでたっても出てこないのは当たり前。日本の経済価値を再び高めるというアベノミクスの大きな目標を達成できるとは、到底思えません。

週刊プレイボーイ 2015年 No39•40号「池田和隆の『政界斬鉄剣!!!』 vol.5」より

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